2013年11月8日金曜日

何とかしたいおかしなべた基礎

最近、木造住宅はとにかく「べた基礎」が多い。
軟弱地盤に有効、耐震性が高い、丈夫などなど布基礎に比べると何かとよさそうなイメージです。

結論から言います。
現在の木造住宅のべた基礎の大半は、軟弱地盤に有効ではないし、耐震性も高くなく、全く丈夫ではありません!!大きな勘違いです!

なぜか??
それはとても簡単なことです。
べた基礎はそもそも鉄筋コンクリート構造です。当たり前ですよね。
この鉄筋コンクリート構造の基本を成していないから問題なのです。

鉄筋コンクリート構造を整理してみましょう。
・鉄筋コンクリート構造は、柱に梁が架かり、梁で囲まれた空間にスラブがあります。
・梁は柱スパンが大きくなれば断面は大きくなり、鉄筋も多くなります。
・梁に貫通口など開ける場合は補強します。
・スラブが大きくなれば厚さが厚くなり、鉄筋も多くなります。

この常識的なことが、べた基礎になった瞬間忘れ去られてしまいます・・。
べた基礎のどこがおかしいのか整理します。
・基礎梁は「立上り」と呼ばれ、スラブを囲う役目を忘れ土台を支えるだけのものと誤解されている。だから梁のように連続させる感覚がない・・。
・基礎梁のスパンは上部木造柱スパンです。しかしこの柱スパンに関係なく断面、鉄筋量が決まっている。スパンが大きくても断面が大きくなったり、鉄筋量が増えることがない。
・連続している基礎梁の一部に人通口をとる感覚がないため、人通口部分で基礎梁を完全に分断させている。
・スラブは区画の大きさに関係なくすべて同じ厚さ、同じ鉄筋量。
大まかにはこんなところです。
(その他にもたくさんあるのですが、ここではこの程度にしていきます)

なぜ、こんなにも誤解されているのか?
それは、固い地盤面に固い鉄筋コンクリートが載っているのだから、変形することがない。と思われているからです。
実は基礎も変形をするのです。
基礎には「地反力」とうい力が地盤面より作用し、基礎梁、スラブを変形させます。
この変形に対して設計をします。(地反力の説明は省略します)
その他、耐力壁両端柱の浮き上りによる力も基礎梁に作用します。

これら基礎に作用する力が理解されていないため、基礎は構造設計不要と誤解されています。

べた基礎を本当に丈夫で耐震性が高く、軟弱地盤に有効としたいのであれば「構造計算」をしましょう。
それと、べた基礎形状は意匠設計にかなり影響されます。
経済的で構造安全性の高いべた基礎としたいのであれば、べた基礎の構造的特徴を理解し、意匠設計を行う必要があります。

構造塾の役割
構造計算を行う物件で、べた基礎が成立しない、(一般的に勘違いされているべた基礎より)ボリュームが大きくなるなど 、基礎に対する意匠設計者との意見の相違がよくあります。
残念ながら基礎に関する誤解が招いていることです。

しかし、プランも確定し、基礎のボリュームもいつも通りと想定し金額も掴んでいるところまで進んでいる状態で、べた基礎不成立により設計変更や基礎のボリュームUPで金額UPは受け入れがたいことなのです。
よく、構造計算すると基礎が過剰設計になると言われますが、全く違います!
巷で構造を無視して勝手に常識としてきた「べた基礎」が異常(過小)なのです。
構造として成立していないのです。

このようなことがなくなるよう設計者に、構造のことを事前に知ってもらいたいと思い「構造塾」をスタートしました。
基礎設計に関する講座では、基礎を構造計算できることを目的とした講座と、意匠設計において知っておくべき基礎の構造的知識を目的とした講座があります。
当然、基礎以外の構造に関する講座も多々あります。
興味があれば構造塾ご参加ください。

最後に、
木造住宅の基礎は最も構造的に誤解され、安全性が低い部分です。
このブログでちょっとでも気付きがあればありがたいと思います。

■お問い合わせ■
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