2013年6月5日水曜日

デザインと構造の融合は無理??

6月4日新潟地域型住宅協議会の第二回定時総会が開催されました。
ちなみに、新潟地域型住宅協議会は地域型住宅ブランド化事業の採択を受けたグループです。

総会の後、協議会会員工務店数社によるパネルディスカッションを行いました。
各社の家づくりに対する考え方や特徴、営業方法、補助金の活用などなど、様々な意見が出てきました。

そこで、いくつか気になる発言が・・・。
・「耐震等級をクリアーさせるには設計の自由度、デザイン性を奪われる」
・「長期優良住宅は性能ばかり前に出ているが、性能重視では仕事が取れない」
・「耐震等級の計算をすると部材や基礎のボリュームアップになる」

などなど、ショッキングな内容でした・・。
四号建築物確認の特例の功罪なのか・・。

設計の自由度、デザイン性は構造性能の上に成り立つものであるはずです。
このもっともらしいこの意見を言い換えれば、
「設計の自由度を重視し、かっこいいデザインの家をつくるには耐震性能は邪魔になるため耐震等級の計算はしません。地震が来たときは家が壊れるかもしれませんが仕方ないですよね、だってかっこいい家なんだから」っていうことですよね。建築士のエゴですよ。

家をつくるお客様は、設計の自由度とデザイン性そして耐震性能はすべて必要だと思いますよ。

それと、性能重視では仕事が取れない、確かにそうです。
だから最低限の性能を確保しつつ各社のオリジナリティを出していきましょう。
ところが、「性能重視では仕事が取れない、だから耐震性能や省エネ性能は計算したりしなくていいんだよ」って考えている建築士が多いのではないでしょうか。

さらに、耐震等級の計算をすると部材や基礎が大きくなる・・、それをまるで過剰設計のように言うけれど、そうではありません。
そもそも想定していた部材や基礎が安全性に欠けているほどボリュームが小さかったのでと考えてみてください。
だってその想定した部材や基礎は、荷重など考慮して断面算出していないですよね。
なぜそれが正当な部材や基礎と確信しているのか不思議でなりません・・。

もっと、構造の大切さを伝えていかなければいけないと強く思いました。

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2 件のコメント:

  1. 初めまして、いつもROMってましたが、今回ばかりはオジサン黙っていられません…

    本当に耳を疑う発言ですね…
    協議会会員でのディスカッションということは、もちろん補助金を受け、長期優良住宅を手掛けているわけですよね(汗)

    その会員さん?(達)は公然と自己否定をされたわけですか…

    そもそも何故協議会に加入し、今回のディスカッションに参加したかも謎です。
    長期優良住宅やらない宣言なのでしょうか?これからの法改正にどう対応するのでしょう?

    安全(構造、基礎)は何より優先されるべきで、これなくしてデザインと呼ぶことなかれ。細部にこそ神は宿り、機能美へと昇華する。建築に携わる者は一生勉強。

    こんなことは建築家を目指す今時の中学生でも理解できます、この方?(々)は東日本大震災自体知らないのでしょうか?
    いやはや、恐ろしい世の中です。

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  2. 伊藤様、コメントありがとうございます。
    ホント、驚きの発言でした・・。
    他会員に対する刺激になればと思ったディスカッションでしたが、思わぬ方向へと行ってしまいました・・。

    仰る通り、長期優良住宅やらない宣言です。

    構造計算を業としていると、構造安全性の感覚ゼロの設計者が多くいます。
    「予算があるから構造計算する」、「予算が無いから構造計算しない」など当たり前のように発言します。

    こんな状況を危惧して「構造塾」を立上げ、構造計算の必要性などを訴え続けています。
    でも、木造住宅業界の構造安全性に対する感覚の無さは根深いですね。

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