2014年3月20日木曜日

「構造塾」新潟・長岡会場からのお知らせ

3月19日(水)の「構造塾」新潟・長岡会場の第4期講座を終了しました。
 構造塾を設立して4年、年間5回講座で合計20回目の講座でした。(写真UPします)
ここまで運営できたことは皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。

第5期の「構造塾」新潟・長岡会場は、...
・4月23日(水)に会員募集説明会を開催します。
 (詳細は後程)
・5月より第5期の講座を開始します。
 (詳細は後程)

講座内容を下記の通りより充実させます。
①構造講座は3講座(修了証発行)
・基本講座:木質構造の基礎知識、基本的な考え方
・応用講座:設計・施工に使える構造の知識習得と演習
・実践講座:構造計算ソフトを使った実践的な講座
 (エキスパートコース)

②省エネ講座(修了証発行)
・改正省エネを基本に設計演習等

③特別講座
・地盤勉強会:会社、団体、グループ等にて開催
 (構造塾会員外でもOK! 随時受付中)
・現場勉強会:地盤調査、プレカット工場、基礎配筋、構造躯体
・外部講師講座:大学教授、税理士、保険業者等

④会員交流
・納涼会、忘年会、新年会等

今後とも、「構造塾」をよろしくお願いいたします。

*予定しておりました、耐力壁の配置バランス「四分割法」、「偏心率」は後日UPします。

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2014年3月1日土曜日

木造住宅の仕様規定を深く理解する その5「耐力壁の配置バランス」

久しぶりのブログ更新です。
タイトルのちょっと変更しました。

今回は、
木造住宅の仕様規定を深く理解する その5 「耐力壁の配置バランス」の解説をします。

耐力壁の配置バランスとは、壁量計算にて耐力壁の必要な量(壁量)を計算した後に行う検討です。
壁量計算では単にX,Y方向の必要壁量と存在壁量の確認を行いましたが、
この耐力壁の配置バランスが悪いと壁量は確保していても地震力に対してて抵抗できないことがあります。

具体的には、建物のX,Y方向の耐力壁が偏って配置されていると、耐力壁の少ない通りなどが地震力に対して抵抗できず、建物がねじれるように倒壊することがあります。

これは、1995年阪神淡路大震災で木造住宅に多く見られた被害で、
特に商店街や住宅密集地の「間口が狭く奥行が大きい」建物に大きな被害が集中しました。

理由は、間口が狭いため、道路に接している間口方向には、
玄関や車庫、店舗などが配置され、
間口方向の耐力壁は建物奥の方へと偏ることになりました。
このような間取りは、耐力壁の少ない道路側の間口方向が大きくねじれるように倒壊します。

この被害状況を鑑み、2000年の建築基準法改正において木造住宅の仕様規定に「耐力壁の配置バランス」を検討する簡易的な計算方法として
「四分割法(よんぶんかつほう)」が提案されたのです。

耐力壁の配置バランス検討方法は、四分割法の他に、「偏心率の計算」でもOKです。
しかし、偏心率の計算はちょっと高度なため、
木造2階建て程度の四号建築物では、
四分割法による簡易計算を先ずは理解しましょう。

四分割法は、一見難しそうに感じますが、実はとても簡単な計算をしています。
なぜ難しそうに感じるのかと言うと、
わざわざ難しい言葉を使っているから難しい計算に感じるのです・・。

四分割法は、建物各階各方向の外側1/4の部分で、地震力に対する壁量計算をしているだけです。

手順は以下の通りです。
①1/4部分の床面積を求めます。
②求めた床面積に地震力に対する壁量計算で必要壁量を算出するときに利用した「床面積に乗する数値」を掛け算して必要壁量を求めます。

  1/4部分の必要壁量=1/4部分の床面積×床面積に乗する数値

*1階で1/4部分の上に2階が全く載っていない場合は、
  例え1階でも乗ずる数値は「平屋建て」の数値とします。

③1/4部分の存在壁量を求めます。

④判定その1 「壁量充足率のチェック」
  壁量充足率=1/4部分の存在壁量÷1/4部分の必要壁量≦1.0
  の確認
  
  簡単に説明すると、必要壁量よりも存在壁量が多いことの確認です。

⑤判定その2 「壁率比のチェック」
 
  同一階の同一方向(例えば、1階Y方向など)の向かい合った外側1/4部分の充足率の比較検討を行います。

  例えば、1階Y方向の左右1/4部分の充足率を求め、

  充足率の小さい方÷充足率の大きい方≧0.5 の確認をします。

  簡単に説明すると、向かい合った1/4部分の壁量充足率の差が
  大きすぎないかをチェックしているのです。
  もっと具体的に計算例で説明すると、
  
 
  1階Y方向の左側1/4の壁量充足率が3.5
  1階Y方向の右側1/4の壁量充足率が1.2

この場合、どちらも充足率が1.0以上のため「判定その1」はOKです。
しかし、判定2の壁率比を比較してみると、

  充足率の小さい方÷充足率の大きい方=1.2÷3.5=0.34≦0.5
  NGとなります。

「判定その2」の意味を理解することが大切です。
判定その2でチェックしたいことは、向かい合った1/4部分の壁量充足率がたとえ満たされていたとしても、充足率に差がありすぎていては耐力壁の配置バランスとしては良いバランスとは言えないはず。
そこで、向かい合った1/4部分の壁量充足率の比率を「壁率比」として計算して、
充足率のバランスが1:2以内(壁率比0.5以上)であればバランスは悪くないでしょうという意味なのです。
  
そう考えると、実は「判定その2」がとても重要であることがわかります。

そこで、もう一つ考えてみましょう。
耐力壁の配置バランスの簡易計算である四分割法は、
なぜ建物外側1/4部分の壁量計算なのでしょう?
バランスの良い耐力壁配置なら建物中心部にバランスよく配置しても良いのではないでしょうか??

この答えは、偏心率の計算をすると理論が理解できるのですが、
構造計算はもっとイメージで理解することが大切です。
建物を自分自身の体に置き換えて考えてみましょう。

例えば、電車によるとき、電車の横揺れに抵抗するため足を開くと思います。
足を揃えるよりも開いた方が横揺れに対して安定します。
これと同じなのです。

建物も、建物中心部に耐力壁をバランスよく配置するより、建物外周部にバランスよく配置する方が地震による水平方向の力に抵抗できるのです。
だから外側1/4部分の耐力壁配置が重要なのです。

それともう一つ重要なことがあります。
四分割法の基本は、どんな形状の建物でも、
とにかく最も外側の部分から1/4の面積として計算しているようですが、
これも設計者として臨機応変に考えましょう。

例えば、大きなL型の建物は地震で揺れると入隅部分で建物が壊れることがあります。
これは、L型部分それぞれの揺れ方が違うことにより
入隅部分が壊れるのです。
そこで、建物形状がデコボコしているときは、建物を任意に矩形のブロックに分割し、それぞれの矩形ブロックごとに四分割法によるチェックを行います。
当然、壁量計算も各矩形ブロックで行い、壁量充足率の差を小さくしておきます。
*具体的には小さい方の壁量充足率÷大きい方の壁量充足率≧0.75

そうすると、各矩形ブロックの揺れ方の差が少なくなるため、入隅部分で建物が壊れる被害は減少します。

このように、簡易計算と思われている四分割法も、深く理解すると建物の耐震性能は格段に向上します。
四分割法も深く理解してしっかりと計算をしてみてください。


構造計算は難し理論を覚えようと頑張る前に、どのような力が作用し、
どのように変形し抵抗するのかをイメージすることが大切です。
そうすると構造計算は案外簡単に理解できてくるはずです・・。

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2014年2月1日土曜日

木造住宅の壁量計算を深く理解する その4「壁量計算による耐震等級」

今回は木造2階建て住宅(四号建築物)の仕様規定における、令46条壁量計算の解説第4弾、「壁量計算による耐震等級」です。

耐震等級とは
耐震等級とは、構造計算による地震力に対する安全性の程度を等級として表したもので、2000年施行の品確法の性能表示制度で一般化してきました。

耐震等級1とは建築基準法で求める耐震性能
耐震等級2とは建築基準法で求める耐震性能の1.25倍の耐震性能
耐震等級3とは建築基準法で求める耐震性能の1.50倍の耐震性能

ここまで知っている方は多いのではないでしょうか。

では、1.25倍、1.50倍の耐震性能とは具体的に何か??
ここが意外と知られていません。

令46条壁量計算で例えると、
前回までに解説してきた地震力、風圧力による必要壁量は建築基準法で求める耐震性能で、壁量計算がOK(必要壁量≦存在壁量)となる四号建築物は、「耐震等級1」と言えます。

耐震等級2とは、必要壁量が1.25倍になることで、
耐震等級3とは、必要壁量が1.50倍になることです。

この、必要壁量の1.25倍≦存在壁量ならば、耐震等級2
    必要壁量の1.50倍≦存在壁量ならば、耐震等級3
の四号建築物と言えるのです。

壁量充足率で耐震等級を確認している
前回、精度の高い壁量方法として壁量充足率を解説しました。
おさらいです。

壁量充足率=存在壁量/必要壁量 で計算します。
壁量充足率を算出することで、各階各方向の壁量がどれだけ足りているか、余裕があるのかを確認できました。

実はこの壁量充足率を算出することで、耐震等級の確認をしていたのです。

必要壁量の1.25倍≦存在壁量ならば、耐震等級2とは、
壁量充足率が1.25倍以上のことで、

必要壁量の1.50倍≦存在壁量ならば、耐震等級3とは、
壁量充足率が1.50倍以上のことなのです。

はじめはちょっと混乱するかもしれませんが、頭を整理して考えてみてください。すぐに理解できると思います。

耐震等級を確認してみよう!
では、実際に耐震等級の確認をしてみましょう。
前回計算した壁量充足率は以下の通りです。

1階X方向 充足率=存在壁量23.66m/必要壁量22.00m=1.075
1階Y方向 充足率=存在壁量25.00m/必要壁量15.00m=1.666
2階X方向 充足率=存在壁量21.00m/必要壁量13.00m=1.615
2階Y方向 充足率=存在壁量20.00m/必要壁量10.00m=2.000

耐震等級は、
1階X方向 充足率=存在壁量23.66m/必要壁量22.00m=1.075
→充足率1.075は耐震等級1

1階Y方向 充足率=存在壁量25.00m/必要壁量15.00m=1.666
→充足率1.666は耐震等級3

2階X方向 充足率=存在壁量21.00m/必要壁量13.00m=1.615
→充足率1.615は耐震等級3

2階Y方向 充足率=存在壁量20.00m/必要壁量10.00m=2.000
→充足率2.000は耐震等級3

となります。
残念なことに、1階X方向が充足率1.075で耐震等級1なので、建物全体で評価すると耐震等級1の建物となります。

1階X方向の存在壁量を増やし、充足率を1.5以上とすれば、建物全体の評価で耐震等級3となります。

戦略的な壁量計算書
壁量計算は実に地味な計算で、お客様に説明することがなかったり、説明しても当たり前の検討をしているだけと思われる可能性もあります。
ただ、地震に対して安全性を確認している安心感は伝わはずですが・・・。

そこで、この地味な壁量計算をもっと戦略的に使っていきましょう!
そこで使えるのが「耐震等級」です。

耐震等級を知っているお客様は思った以上に多くいます。
細かな意味は分からなくても、「耐震等級3は耐震性能が高い安全な住宅」という認識を持っています。

あるアンケートによれば、住宅予算が高い人ほど高い耐震性能を求める傾向があります。
(日経ホームビルダー2013年2月号参照)

であれば、お客様の要望に応えるべく、耐震等級3が設計できることをHPなのでどんどんPRしましょう!
今や、住宅を建てようと考えている人の多くは、インターネットで工務店や設計事務所などを検索する時代です。

「耐震等級3の家を建ててほしい」というお客様が来たら対応します、なんてことを言っていてもお客様はまず来ません。
だって、インターネットで、「木造住宅」、「耐震等級3」、「〇〇県〇〇市」、「工務店」との検索にヒットする可能性が極めて低いからです。

現在、多くのハウスメーカー、ビルダーはお客様に対して「耐震等級3」を伝えています。何故なら、多くの工務店が耐震等級3に対応できていないことを知っているからです。

だからこそ、PRが必要なのです。

構造検討方法による耐震等級のレベルを理解する
2013年11月22日のブログで、木造住宅の構造検討方法3通りを説明しました。
①許容応力度計算(構造計算)
②性能表示の耐震性能計算
③仕様規定
の3通りです。

これら検討方法には構造安全性に対するレベル差があります。
①許容応力度計算が最も構造安全性レベルの高い検討方法です。

そこで、知っておくべきことは、今回説明した耐震等級の計算方法は、③仕様規定による令46条壁量計算の方法の「耐震等級」であることです。
構造安全性レベルで言えば、最も低いレベルです。

このことを理解して耐震等級3(2でも構いません)をPRしてください。

最後に
「木造住宅の壁量計算を深く理解する」シリーズは今回で終了します。
結構甘く見られている壁量計算も深く理解し戦略的に使えば立派な強みとなります。
これが構造に強い会社、構造に強い設計者だと思います。

最近は「構造計算ソフトの使い手」が増えてきました。
構造計算の基本が全く分かっていないけど、構造計算ソフトは入力できて、
エラーは何となく解消できてしまい、構造計算書をコピーできる人です。

このブログを読んで頂いている方々は「構造計算ソフトの使い手」にはならないことを願っています。

次回は、耐力壁の配置バランス「四分割法」、「偏心率」を解説します。

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2014年1月15日水曜日

木造住宅の壁量計算を深く理解する その3「存在壁量の算出と壁量の判定」

今回は木造2階建て住宅(四号建築物)の仕様規定における、令46条壁量計算の解説第3弾、「存在壁量の算出と壁量の判定」です。

存在壁量の算出
前回までは、地震力に対する必要壁量と風圧力に対する「必要壁量」の算出について解説しました。壁量計算は、「必要壁量」に対して、「存在壁量」が多いことを確認して終了となります。

では、存在壁量とはなんでしょう?
存在壁量とは壁量計算をしている四号建築物に設計上配置する(存在する)耐力壁の量です。

   壁量=壁倍率×耐力壁長さ(単位:m、cmなど)

必要壁量を算出した各階、各方向ごとの壁量の合計が「存在壁量」となります。

例えば、1階X方向に、
壁倍率2.0倍、長さ0.91mの耐力壁が5枚、
壁倍率4.0倍、長さ1.82mの耐力壁が3枚あるとすると存在壁量は、

壁倍率2.0倍×0.91m×5枚=9.10m
壁倍率4.0倍×1.82m×2枚=14.56m
1階X方向の存在壁量=9.10m+14.56m=23.66m となります。

壁量の判定
壁量計算の最後は、壁量の判定です。
壁量の判定は、

「必要壁量≦存在壁量」 の確認です。

例えば、1階X方向の必要壁量が22.00mだとすると、
壁量の判定 必要壁量22.00m<存在壁量23.66m OK
一般的な壁量計算はこれで終了です。

精度の高い壁量計算①
ここからは、壁量計算の精度を上げるための判定方法を紹介します。
例えば、
1階X方向 必要壁量22.00m<存在壁量23.66m OK
1階Y方向 必要壁量15.00m<存在壁量25.00m OK
2階X方向 必要壁量13.00m<存在壁量21.00m OK
2階Y方向 必要壁量10.00m<存在壁量20.00m OK

上記の壁量判定はすべてOKです。
ここで重要なことは、各階各方向の壁量がどの程度余裕があるのかを確認することです。
そこで、充足率(どの程度余裕があるのか)を確認します。

壁量充足率=存在壁量/必要壁量 で計算します。

1階X方向 充足率=存在壁量23.66m/必要壁量22.00m=1.075
1階Y方向 充足率=存在壁量25.00m/必要壁量15.00m=1.666
2階X方向 充足率=存在壁量21.00m/必要壁量13.00m=1.615
2階Y方向 充足率=存在壁量20.00m/必要壁量10.00m=2.000

この充足率で、1階X方向の充足率はギリギリ壁量が足りていることがわかります。
それに比べ、1階Y方向は必要壁量に対して存在壁量が約1.6倍以上の余裕があることがわかります。

地震力や風圧力などの水平力は壁量計算のようにX方向、Y方向に都合よく作用しません。
様々な方向から作用します。
ということは、各階で方向ごとの壁量充足率に差がありすぎると、建築物に斜め方向から作用した水平力に対して抵抗力に差が生じます。
簡単に言い換えると、建築物の揺れ方や変形の具合に差が出てしまうのです。

そこで、各階の壁量充足率はなるべく近い数値にしておくことがお勧めです。

どの程度近い数値かという指標はありませんが、
壁の配置バランスの簡易計算である四分割法の壁率比の考え方を用いれば、

壁量充足率の小さい方/壁量充足率の大きい方≧0.5

が良いのではないでしょうか。
この式の意味は、充足率の小さい方と大きい方の比率を1:2以内に収めましょう、それ以上の差があるとバランスが悪いということです。

そこで、1階X,Y方向のバランスをチェックします。
壁量充足率の小さい方/壁量充足率の大きい方
1.075/1.666=0.645>0.5 OK

こんな感じです。

精度の高い壁量計算②
もう一つ、精度の高い壁量計算を紹介します。
次は、上下階のバランスです。

これは構造計算で行う「剛性率」と同じような考え方です。
剛性率は簡単に説明すると、各階の水平力に対する変形の差を確認する計算で、各階の変形の差が大きいと、変形の大きな階が水平力により倒壊してしまう可能性があるため、これを防ぐために剛性率は重要な計算なのです。

そこで、壁量計算にものこ剛性率の考えを取り入れます。
今度は、各階の同一方向の壁量充足率のバランスを取ります。

具体的には、
同一方向充足率の小さい階/同一方向充足率の大きい階≧0.6 
を計算します。

計算してみましょう。
1階X方向 充足率=存在壁量23.66m/必要壁量22.00m=1.075
2階X方向 充足率=存在壁量21.00m/必要壁量13.00m=1.615

X方向下階バランスチェック
1階X方向充足率1.075/2階X方向 充足率1.615=0.665 OK

1階Y方向 充足率=存在壁量25.00m/必要壁量15.00m=1.666
2階Y方向 充足率=存在壁量20.00m/必要壁量10.00m=2.000

Y方向上下階バランスチェック
1階Y方向充足率1.666/2階Y方向充足率2.000=0.833 OK

どちらの方向も上下階のバランスは良いことがわかります。


今回紹介した精度の高い壁量計算①、②は僕が著書である「最高に楽しい木構造入門」で勝手に提案している方法です。
建築基準法などで決まっている方法ではありません。
しかし、簡素な壁量計算の精度が高くなると思います。
設計者判断で利用してください。

次回は、壁量計算の最後、「壁量計算による耐震等級」について解説します。

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2013年12月24日火曜日

木造住宅の壁量計算を深く理解する その2 「風圧力に対する必要壁量」

今回は木造2階建て住宅(四号建築物)の仕様規定における、令46条壁量計算の解説第2弾、「風圧力に対する必要壁量」の解説です。

風圧力に対する必要壁量の算出
風圧力に対する必要壁量は、

  必要壁量=見付け面積×見付け面積に乗じる数値

で計算します。

見付け面積とは建物に風があたる立面上の面積のことです。
見付け面積の計算は柱芯ではなく外郭線(仕上げ等の最外面)で計算します。

時々見付け面積を計算する際、CADから建物の凸凹を正確に拾い出していることがありますが、見付け面積は少し大きめに算出した方が安全側の設計となります。
そもそもCAD上の建物の凸凹自体、本来の仕上がりとは違う可能性が高いのですから、細かく面積を算出するのはやめましょう・・。

見付け面積について
見付け面積は、各階床面から1.35mより上の面積とします。
なぜ、1.35mより上なのでしょう??
これは階高を2.7mと想定したとき、階高の1/2の値が1.35mで、
階高の上1/2は、その階の耐力壁が風圧力を負担し、
階高の下1/2は、下階の耐力壁が風圧力を負担すると考えられています。
よって、床面から1.35mより上の見付け面積を算出するのです。

ちなみに1階の下1/2は土台→基礎→地盤へと風圧力は伝達されます。

現在の木造住宅の階高は2.7mより高くなっていると思います。
その場合は、床面から1.35mより上の見付け面積を計算すると実際の階高1/2より多めの見付け面積となるため、風圧力に対する必要壁量は安全側の設計となります。

逆に、階高が2.7mより低い場合は床面から1.35mとせず、実際の階高の1/2より上を見付け面積として風圧力に対する必要壁量を算出しましょう。

見付け面積に乗する数値について
見付け面積に乗ずる数値は50cm/㎡が一般的に使われています。特定行政庁が特に強い風が吹くとして定めた地域においては50~75cm/㎡が係数として定められています。

見付け面積に乗ずる数値の50cm/㎡は旧風圧力基準において風速50m/secを想定して決まった数値です。

見付け面積と耐力壁の注意点
風圧力で最も注意する点は、見付け面積と計算する耐力壁は直行していることです。
もう少しわかりやすく言うと、X方向の壁量計算を行うにはY方向の見付け面積にて必要壁量を算出することになります。
建物の壁に風があたった場合、直行する耐力壁が倒れないように支えるイメージです。

各階・各方向の必要壁量決定
地震力に対する必要壁量(前回解説)および風圧力に対する必要壁量を算出したら、各階・各方向にて必要壁量を決定します。
必要壁量の決定とは、地震力、風圧力のどちらか大きい方の必要壁量を各階の各方向ごとに決めることです。

次回は、存在壁量の算出と壁量の判定について解説します。


2013年12月13日金曜日

木造住宅の壁量計算を深く理解する その1 「地震力に対する必要壁量」

階数が2階建て以下、延床面積500㎡以下、最高軒高9m以下、最高高さ13m以下の木造住宅は、四号建築物と呼ばれ構造安全性検討は「仕様規定」として建築基準法施行令に規定されています。

仕様規定では令46条に「壁量計算」があり、木造住宅は地震力、風圧力に対する安全性を壁量計算にて確認することになります。

この壁量計算はとても簡単なため、結構甘く見られています。
しかし、この壁量計算は深く理解することで木構造の基本がわかって来るのです・・。

令46条の壁量計算は、各階(1,2階)、各方向(X,Y方向)の地震力及び風圧力に対する「必要壁量」を算出し、実際に配置する耐力壁による「存在壁量」が多いことを確認する計算です。

噛み砕いて説明するとこんな感じです。
・必要壁量
壁量計算しているこの木造住宅に作用する地震力に対抗するためには、 これだけの耐力壁の量が必要ですよ
・存在壁量
設計上配置する耐力壁はこのくらいの量になります
・判定
必要としている壁量に対して、設計上配置する存在壁量の方が多いため この木造住宅は地震に対して抵抗でき安全ですよ

必要壁量は、地震力又は風圧力のうちどちらか大きい方を各階、各方向ごとに採用します。
例えば、こんな感じです。
2階X方向 必要壁量→ 地震力のほうが大きいため地震力で決定
2階Y方向 必要壁量→ 風圧力のほうが大きいため風圧力で決定
1階X方向 必要壁量→ 地震力のほうが大きいため地震力で決定
1階Y方向 必要壁量→ 風圧力のほうが大きいため風圧力で決定


地震力に対する必要壁量の算出
地震力に対する必要壁量の算出についてポイントを説明します。

地震力に対する必要壁量=床面積×床面積に乗ずる数値
で計算します。
「床面積」は見下げ面積で、通常の建築基準法に準じて算出している床面積のことだと思ってください。
「床面積に乗ずる数値」とは、令46条に規定されており、
計算する木造住宅の屋根仕上げにより「重い屋根」、「軽い屋根」
階数により「平屋建て」、「2階建ての2階」、「2階建ての1階」
ごとに必要壁量の数値が決められています。単位はcm/㎡です。

ちなみに「床面積に乗ずる」とは床面積に掛け算してくださいという意味です。

この数値は、屋根仕上げが重いほど大きくなり、建物規模が大きくなるほど数値も大きくなります。
ここが重要で、建物重量が大きくなると作用する地震力も大きくなるため、必要壁量が多くなります。
よって、存在壁量を多めにします。

これを偏って解釈されていることが多く、
「瓦屋根は重量が大きくなり地震に弱い!」となってしまいます。

これは大きな間違いです。
繰り返しますが、「瓦屋根は重量が大きくなり地震力が多く作用します。なので耐力壁を多めに配置して安全性を確保しましょう」となるのです。
決して瓦屋根の木造住宅が地震に弱いわけではありません。

積雪量を考慮した必要壁量
この床面積に乗ずる数値には積雪量を考慮したものがあります。
2×4工法の告示(平成13年 国土交通省告示第1540号第五)に規定されているのですが、
積雪量を考慮して数値が大きく設定されています。

雪の多い地域は多雪地域に指定され、県条例などにより積雪量が決められています。
よって、多雪地域では積雪量を考慮した必要壁量を算出することをお勧めします。

緩和措置
必要壁量算出には、緩和措置があります。
・バルコニーの緩和措置
床面積に参入しないバルコニーは、地震力に対する必要壁量算出用の床面積にも参入しなくてよい。こんな緩和措置です・・・。

これをもっと深く考えてください。

先に説明しましたが、「建物重量が大きくなると作用する地震力も大きくなる」
この基本を忘れずに考えればすぐにわかることですが、
バルコニーは建築基準法上 床面積に算入しなくても、存在していることで重量は発生しています。
実際にバルコニーのある木造住宅はバルコニーの重量分重くなっているのです。

と言うことは、バルコニー面積も床面積に算入し必要壁量を算出した方が安全側の設計になります。
これは強制ではなく「設計者判断」となります。
地震力のことをちょっと理解できれば、バルコニーを無視することはできないはずです。

ちなみに、幅5.46m×奥行0.91m=4.97㎡のバルコニーを、重い屋根の2階床面積に算入して必要壁量を算出してみます。

重い屋根、2階建て2階の床面積に乗ずる数値=21cm/㎡
バルコニー追加分の必要壁量=4.97㎡×21cm/㎡=104.37cm

筋かい4.5cm×9.0cm片掛け 壁倍率2倍の耐力壁がどれくらい必要か
計算します。

必要壁量104.37cm÷壁倍率2倍=52.19cm(0.5219m)
*柱芯間距離0.91mに筋かい4.5cm×9.0cm片掛けの耐力壁があればバルコニーの面積増加分は十分カバーできるのです。

・小屋裏収納の緩和措置
小屋裏に収納がある場合、直下階の床面積の1/8以下であれば床面積に算入しなくてよ。さらに天井の高さにより、小屋裏収納の床面積を緩和することもできます。

これも、バルコニー同様に考えましょう。
小屋裏収納がどんなに小さくても存在していれば重量は発生します。
と言うことは、緩和するための計算方法を一生懸命覚えるよりも、
地震力のことを考えて、床面積に算入して必要壁量を算出した方が安全側の設計となります。
これも強制ではなく「設計者判断」です。

以上、地震力に対する必要壁量算出には、地震力の特徴をちょっとだけ理解しているだけで精度の高い安全側の設計が可能になります。
この提案を過剰設計と思うかどうかは設計者の判断となります。
しかし、この程度の安全側の設計が過剰設計となるような木造住宅自体がかなりの過小設計と考えるべきだと僕は思います。

次回は、風圧力に対する必要壁量について解説します。

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2013年12月6日金曜日

面材耐力壁の基準

木造住宅の耐力壁には、筋かい耐力壁と面材耐力壁があります。
今回は、面材耐力壁の基準です。

面材耐力壁の幅は、柱芯間距離で600mm以上、
高さは、幅の5倍までです。
最大幅は筋かい耐力壁同様に2m程度までです。

高さの基準は構造階高で、横架材上端距離です。

柱芯間910mmの面材耐力壁は、
4,550mmの構造階高まで耐力壁となります。
階高の高い住宅は筋かい耐力壁よりも面材耐力壁が有効です。

面材耐力壁の面材継手部分の間柱は45mm×100mm以上とします。
面材継手部分は面材を留めつける釘が2列並ぶため、
間柱幅は45mm必要となります。

間柱は30mm幅で間隔455mmが多く、一般的な面材幅は910mmのため、間柱は30mm幅、45mm幅が交互に必要となります。

次に、よく使われる面材耐力壁には3種類の仕様があります。
各仕様と使える面材種類、施工可能箇所を理解し使ってください。

①大壁仕様
大壁は面材を上下横架材、左右の柱と中間の間柱に、
上から覆うように釘留めする仕様です。
主に、外周部に「構造用合板」を張る仕様です。

②受け材仕様の真壁
横架材、柱の内側に30mm×40mm以上の受け材を設置し、
この受け材に面材を釘留めする仕様です。
主に、室内側に「面材」を張る仕様です。

③床勝ち仕様の大壁
大壁同様の仕様ですが、下側だけ床の合板が先施工された状態(床勝ち)で、床合板上に30mm×40mm以上の受け材を設置し、
下側のみ受け材に面材を釘留めする仕様です。
主に、室内側に「石膏ボード」を張る仕様です。

各仕様の注意点を挙げます。
①大壁仕様は、構造用合板、石膏ボードとも耐力壁として使用可能ですが、
主に外周部に面材を張る仕様です。
外周部は防風・防雨措置をしても雨などの水気にあたる可能性があるため
外周部の面材耐力壁に石膏ボードは使えません

②受け材仕様の真壁は、構造用合板、石膏ボードとも耐力壁として使用可能ですが、主に室内側で使うため、床の合板が負けてしまいます(後施工となり、横架材芯まで張れない)。
床合板は水平構面として重要な役割があります。
よって、床合板を勝たせた方が住宅の耐震性能は上がるため、
室内側は筋かい耐力壁が有効です

③床勝ち仕様の大壁は、上記②の床が負けないようできた仕様です。
しかし、告示上は石膏ボードのみの仕様のため、
構造用合板には使えません

以上をまとめると、
・外周部には構造用合板による面材耐力壁、筋かい耐力壁
・内部には石膏ボードによる床勝ち仕様の大壁耐力壁、筋かい耐力壁
となります。

室内側に構造用合板による耐力壁を使うにはちょっと問題があります。
注意してください。
*よく構造用合板両面張り壁倍率5倍(2.5倍×両面)の計算書をみます。
  水平構面もしっかりと厚床合板で耐力を確保しており、
  仕様を理解していると成立しない状態です。
  残念なことに、このような計算書が横行しており、
    このような計算書を指摘できず
  確認申請や長期優良住宅の技術的審査が通っています。

その他注意点としては、
・2階バルコニー床を室内床と同じレベルで合板を張る時があります。
その場合、下側の横架材に面材が張れないため、外周部でも構造用合板が使えないことがあります。
・下屋がある場合、2階耐力壁の下側が張れないことがあります。

面材耐力壁は筋かい耐力壁以上に注意点がたくさんあります。
よく理解して使ってください。
 
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