木造住宅の耐力壁には、筋かい耐力壁と面材耐力壁があります。
今回は、面材耐力壁の基準です。
面材耐力壁の幅は、柱芯間距離で600mm以上、
高さは、幅の5倍までです。
最大幅は筋かい耐力壁同様に2m程度までです。
高さの基準は構造階高で、横架材上端距離です。
柱芯間910mmの面材耐力壁は、
4,550mmの構造階高まで耐力壁となります。
階高の高い住宅は筋かい耐力壁よりも面材耐力壁が有効です。
面材耐力壁の面材継手部分の間柱は45mm×100mm以上とします。
面材継手部分は面材を留めつける釘が2列並ぶため、
間柱幅は45mm必要となります。
間柱は30mm幅で間隔455mmが多く、一般的な面材幅は910mmのため、間柱は30mm幅、45mm幅が交互に必要となります。
次に、よく使われる面材耐力壁には3種類の仕様があります。
各仕様と使える面材種類、施工可能箇所を理解し使ってください。
①大壁仕様
大壁は面材を上下横架材、左右の柱と中間の間柱に、
上から覆うように釘留めする仕様です。
主に、外周部に「構造用合板」を張る仕様です。
②受け材仕様の真壁
横架材、柱の内側に30mm×40mm以上の受け材を設置し、
この受け材に面材を釘留めする仕様です。
主に、室内側に「面材」を張る仕様です。
③床勝ち仕様の大壁
大壁同様の仕様ですが、下側だけ床の合板が先施工された状態(床勝ち)で、床合板上に30mm×40mm以上の受け材を設置し、
下側のみ受け材に面材を釘留めする仕様です。
主に、室内側に「石膏ボード」を張る仕様です。
各仕様の注意点を挙げます。
①大壁仕様は、構造用合板、石膏ボードとも耐力壁として使用可能ですが、
主に外周部に面材を張る仕様です。
外周部は防風・防雨措置をしても雨などの水気にあたる可能性があるため
外周部の面材耐力壁に石膏ボードは使えません。
②受け材仕様の真壁は、構造用合板、石膏ボードとも耐力壁として使用可能ですが、主に室内側で使うため、床の合板が負けてしまいます(後施工となり、横架材芯まで張れない)。
床合板は水平構面として重要な役割があります。
よって、床合板を勝たせた方が住宅の耐震性能は上がるため、
室内側は筋かい耐力壁が有効です。
③床勝ち仕様の大壁は、上記②の床が負けないようできた仕様です。
しかし、告示上は石膏ボードのみの仕様のため、
構造用合板には使えません。
以上をまとめると、
・外周部には構造用合板による面材耐力壁、筋かい耐力壁
・内部には石膏ボードによる床勝ち仕様の大壁耐力壁、筋かい耐力壁
となります。
室内側に構造用合板による耐力壁を使うにはちょっと問題があります。
注意してください。
*よく構造用合板両面張り壁倍率5倍(2.5倍×両面)の計算書をみます。
水平構面もしっかりと厚床合板で耐力を確保しており、
仕様を理解していると成立しない状態です。
残念なことに、このような計算書が横行しており、
このような計算書を指摘できず
確認申請や長期優良住宅の技術的審査が通っています。
その他注意点としては、
・2階バルコニー床を室内床と同じレベルで合板を張る時があります。
その場合、下側の横架材に面材が張れないため、外周部でも構造用合板が使えないことがあります。
・下屋がある場合、2階耐力壁の下側が張れないことがあります。
面材耐力壁は筋かい耐力壁以上に注意点がたくさんあります。
よく理解して使ってください。
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