2013年11月22日金曜日

意外と知られていない木造住宅の安全性検討方法

木造住宅の構造安全性検討方法は意外と知られていません。
建築基準法などをよく理解すればわかることなのですが、
解釈しにくい言い回しが多く、理解するには時間がかかります。

そこで簡単に説明します。
木造住宅の構造安全性検討は大まかに3通りあります。

一つ目は、構造計算(主に許容応力度計算)
基準法上は、木造で3階建て以上、延床面積500㎡超、最高軒高9m超、最高高さ13m超の場合必ず必要な計算です。確認申請にも提出します。

二つ目は、性能表示の計算(耐震等級、耐風等級など)
これは、品確法に規定されている計算で、長期優良住宅は性能表示の耐震等級2以上の計算が必要です。長期優良住宅でも、木造で3階建て以上、延床面積500㎡超、最高軒高9m超、最高高さ13m超の場合は許容応力度計算による耐震等級2以上の構造計算が必要です。

三つ目は、仕様規定です。
基準法上は、すべての木造住宅が行う必要のある構造検討です。
主には、木造で2階建て以下(平屋建て・二階建て)、延床面積500㎡以下(500㎡含む)、最高軒高9m以下(9m含む)、最高高さ13m以下(13m含む)いわるゆ四号建築物は、仕様規定による構造安全性検討を必ず行う必要があります。

自社物件がどの構造検討を行っているのか、行うべきなのかを整理て考えてみてください。
特に四号建築物は仕様規定しかありません。
この仕様規定は壁量に関する簡易計算(壁量計算・四分割法・N値計算など)のみで、柱梁部材、基礎などについては簡単な仕様ルールとなります。
よって、部材の構造安全性、基礎の安全性はほぼ確認していないことになります。

さらに、この仕様規定については四号建築物確認の特例があり、設計者が設計していれば確認申請時に仕様規定による構造安全性チェック(壁量計算・四分割法・N値計算など)を提出する必要がありません。
これがいつの間にか「四号建築物は構造計算しなくていい!」
→壁量計算すら行っていない!、四分割法って何??ってことに繋がっています・・。

最低限、仕様規定は守りましょう!
壁量計算、四分割法、N値計算は必須なのです。
そして、柱梁部材はプレカット業者から伏図が来ますが、
構造計算していないケースが多いですよ。ちゃんと確認しましょう。
プレカット業者に部材の構造計算を依頼するのであれば、ちゃんと対価を支払いましょう。
サービスではできません。当たり前のことです。

建築士であるあなたが出来ない構造計算をお願いするのに、
サービスで構造計算しろと言うのは都合がよすぎます。

また、地盤・基礎は地盤調査業者、地盤補強業者が設計はしませんよ。
地盤調査結果に基づき客観的に地盤改良判定をしているだけで、
地盤補強の提案をしているだけです。
地盤の判定、基礎の設計は建築士であるあなたの仕事です・・。

特に木造住宅業界ではこのあたりを大きく誤解している建築士がとても多いようです。
木造住宅の構造安全性検討方法を理解し、何をやるべきか考えてみてください。

僕のお勧めは長期優良住宅です。
理由は、耐震等級の計算は壁量に関する計算以外に、床や屋根の検討、
部材の検討、基礎の検討とほぼすべての安全性検討を行います。
それに加えて、金利優遇、税制優遇、
ブランド化事業を利用すれば補助金とメリットがたくさんあります。

木造住宅の構造安全性について、真剣に考えてみてください。

■お問い合わせ■
㈱M's構造設計Mail
info@ms-structure.co.jp(佐藤実直通)

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