2013年11月15日金曜日

スキップフロアの設計方法

最近、スキップフロア物件が増えている気がします。
段差のある空間は面白味があり、
空間の有効利用にも繋がります。

しかし、構造計画を全くしていないスキップフロアが多いのも事実です。
構造安全性が確保できないのです。

それは設計でも、設計図書でもなく、いわゆる「画(え)」なのです。

当たり前の話ですが、スキップフロアは床面に段差があります。
この床、構造的には「水平構面」と呼び、
耐力壁上部の「ふた」のようなもので、
耐力壁と水平構面のふたで、建物は箱構造になり耐震性能が高くなります。

スキップフロアは、この大切なふたに段差があるため、
地震力を上手く耐力壁に伝達できないことがあります。

構造計算では、段差が小さい場合(各床梁せい内の段差)は、
通常の建物同様に計算しますが、
段差が大きい場合は、段差部分で2棟に分割しそれぞれで壁量計算をし、
各棟の壁量検定比(又は充足率)のバランスも確認します。
事前に一体でも計算はしておきます。

構造計画をするとは、スキップフロアの構造計算方法を理解し、
意匠設計時2棟に分割し計算できるように計画を立てることなのです。
具体的には、段差部分で建物が分割できるよう、
土台、床梁、小屋梁ラインを揃えることです。直線である必要はありません。

ダメなスキップフロアは段差部分が各高さレベルでめちゃくちゃで、
分割できないプランです。当然構造計算はできません。
よって、耐震性能など構造安全性は確保できません・・。

「構造計算するとスキップフロアが成立しなくて設計の自由度を奪われる!」
などと、もっともらしいことを言われることがありますが、
そもそも構造計算できないスキップフロアは構造安全性が確保できない建物で、
建築士という資格を持った方のプロとしての仕事ではありません・・。
自由設計とデタラメな設計をはき違えないことです。

四号建築物は特例があるし、仕様規定は水平構面の検討がないため
デタラメなスキップフロアでも残念ながら建っていたのです。
建築士は設計しただけで終わりかもしれませんが、
そこに住む家族は一生の問題ですよね・・。

スキップフロアは特に構造計画が重要です。
しっかりと構造安全性を確認したスキップフロアを、胸を張って設計しましょう!



*今回の内容は「構造塾」関東第2期1回目の講座内容より抜粋です。

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