2017年3月31日金曜日

「直下率」の大切さ その2

柱や耐力壁が上下階で揃っている割合を直下率といいます。

熊本地震以降、直下率の話題が出ています。...

 ・木造住宅の倒壊原因のひとつが直下率である
 ・直下率は地震による倒壊原因ではない。


などなど、様々な見解があります。
そこから懸念される問題点を「その1」では話しました。


続きです。

そもそも、建物を造るときの根本を考えてみましょう。

建物を造るときの基本中の基本は直下率を良くすることです。
「直下率を良くすることは建築基準法にない!」
と、言われることがありますが、あまりにも基本的なことであるため、そんなことは規定するまでもないのです。
(規定がないから何でもよい、という発想もやめましょう)

いつから、在来軸組構法の設計者は直下率が悪いことの言い訳ばかりするようになったのでしょうか?
 ・在来は自由設計だ
 ・お客様の夢をかなえたら直下率が悪くなった
 ・直下率など考えていたら私のデザインが崩れる

自由設計とは自由度が高いだけで、デタラメな設計ではありません。
お客様は直下率が悪い家を造ってほしいという夢を描いていません。
勘違いしないでください、デザイナーではありません、建築士です。
勘違いしないでください、あなたの作品ではありません、お客様の大切な住宅です。

いつから、在来軸組構法だけが直下率を無視してよいとなったのでしょうか?
 ・水平構面を強くすれば大丈夫
 ・横架材を大きくすれば大丈夫

そんなことは構造計算すれば計算上安全性が確保できることはわかっています。

そういうことではありません。

直下率が悪いことにより、強く作った水平構面
直下率が悪いことにより、大きくなった横架材

この影響によるコストアップは誰が支払いますか?
すべてお客様です。
直下率の悪い設計をした設計者は全くコストアップの影響を受けません。

これも忘れてはいけません。

まずは、基本に立ち返りましょう。
直下率を良くすることから在来軸組構法を設計してみませんか。

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