2016年5月10日火曜日

地震で倒壊する建物の特徴を考える

熊本地震調査二回目、GW中の5月4日に行ってきました。
今回も被害の大きい益城町を中心に木造住宅の被害状況を調査しました。

やはり、何よりも気になるのは築浅(築年数が少ない)の建物の被害です。
被害状況は大きく分けて二つです。
①1階部分が完全に倒壊
②建物は大きく傾いているが倒壊はしていない

二つの建物の違いは何か??

①1階部分が完全に倒壊している建物は、
 「柱脚が土台から抜けている」ことにより倒壊しています。

柱脚金物は??
当初、柱脚金物を付けなかったことによる引抜けかと思っていましたが、柱脚金物は以外にも取付いていました。

ではなぜ土台から柱脚が引抜ける??
柱脚金物は柱脚と土台を接合するプレート型の金物で、引抜け方の特徴としは土台上部を削り取るように引抜けています。
柱頭も同様に横架材を削り取るように引抜けています。

そして、残った土台と、アンカーボルト、基礎は健全なまま。
きれいな状態で残っています。

               柱脚の引抜け


               健全なアンカーボルトと基礎


本来期待しているように、引き抜き力は伝達されることなく建物の倒壊へと至っています。

これはかなり大きな問題です!
お手軽なプレート型の柱脚柱脚金物は引抜力には効果が薄い・・・。


               プレート型柱頭金物と削りと取られた横架材


しかし、築30年くらいの木造住宅で筋かいプレート無、柱頭柱脚金物もない建物が倒壊していない状況を多々ありました。
逆にこれはなぜ倒壊していない?

これも詳細に調査が必要ですが、仮説として。
築30年くらいの建物は、筋かいの入る耐力壁は筋かいプレートも柱頭柱脚金物がないため、ほどほどの効果で、その他雑壁、腰壁、垂れ壁もほどほどの耐震性能があり、全ての壁が程よく地震に抵抗して局部的に地震力が作用することがなかったのかと考えています。


なので、築浅の建物は筋かいプレートが取付いた耐力壁があるため、地震力は耐力壁に集中的に作用し、柱脚の抜け、倒壊へと至ったのではないかと思われます。

倒壊を防ぐ対策として
・低倍率の耐力壁を多めに配置する(筋かいプレート、柱頭柱脚金物は取付ける)
・高倍率の耐力壁を使う場合は、柱頭柱脚金物はできる限り直接基礎へアンカーボルトにて接合するものとする
かなり大ざっぱな対策ですが、このあたりを心がけるだけでもかなり違ってくるのかもしれません。

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