地盤補強工法のひとつに「置換工法」があります。
これは、現状地盤の土を捨てて、その土に厚さ分超軽量体に置き換えることにより、地盤の長期許容応力度(建物の重さに耐えられる力)が増加する原理に基づく工法です。
人間に例えると、
15kgの荷物を持っている人がいます。
この人はあと5kg荷物しか持つことができせん。
これ以上の荷物を持つと耐えきれずに落としてしまいます。
この人の持てる限界は20kgとなります。
しかし、15kgの荷物をどうしても持ってほしい場合、
今持っている15kgの荷物をいったん置いて、
同じ大きさの1kgの荷物の持ちかえると、
持てる限界20kgに対してあと19kg持つことができます。
よって、どうしても持ってほしい15kgの荷物を持てることになります。
これが置換工法の原理です。
地盤で説明すると、
住宅を建てようとしている地盤があります。
この地盤は軟弱で長期許容応力度が5kN/㎡しかありません。
この地盤はあと5kN/㎡の重さの住宅しか建てられません。
これ以上の重さの住宅を建てると耐えきれずに地盤が破壊してしまいます。
しかし、15kN/㎡の重さの住宅をどうしても建てたい場合、
今ある15kN/㎡相当の表層の土をいったん捨て、
同じ厚さの1kN/㎡相当の超軽量体に置き換えると、
捨てた土15kN/㎡-置き換えた超軽量体1kN/㎡=14kN/㎡
そこに長期許容応力度5kN/㎡を加えて、
置換後の長期許容応力度は19kN/㎡となります。
よって、どうしても建てたい15kN/㎡の住宅を建てることができます。
この15kgの荷物を持ったまま、さらに15kgの荷物を持たせ、
荷物を落とさないように手の下に、つっかえ棒で支える方法もあります。
これを住宅に例えると、柱状改良や杭の原理になります。
置換工法で利用する超軽量体はEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)いわゆる発砲スチロールが一般的で、高速道路の下地のも使われています。
住宅業界に置換工法はいくつかありますが、設計理論を理解して正確な設計を行っている工法や、超軽量部材を間違わずに使っている工法はあまりありません。
多くは置換理論をかなり間違って解釈しています・・。
また、置換工法を軽量化による地盤補強のため、
基本的に液状化には逆効果です。
利用できる地盤は軟弱な粘性土です。
液状化する可能性のある砂質土には利用しないほうがよいでしょう。
どうしても地盤、置換工法、基礎、上部構造を一体で考え、
液状化の原理、エネルギーなど総合的に考えることなく、
ごく一部の部材や性質のみをデフォルメして
液状化に効果ありとか、どんな地盤でも置換可能など謳ってしまっています。
さらに置換工法は構造計算された剛性の高いべた基礎が基本で、
基礎下全体に超軽量体を敷き込むことが基本です。
材料費とボリュームを考えても柱状改良や表層改良よりも高額になります。
そもそも、柱状改良や表層改良と比較検討する工法ではなく、
これらが採用できない支持層の無いような地盤に採用する工法なのです。
パブリックな場では固有名詞を挙げて良し悪しを言えないため
この程度にしておきます。
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