木造住宅の液状化被害が大きく注目されたのは東日本大震災の時でした。
液状化被害は建物倒壊のように直接的に人命を奪うことは少ないようですが、
家が傾き補修したり、傾きが大きく補修ができないなど様々な被害があります。
この液状化ですが、意外とメカニズムが理解されていません。
「地下水位の高い砂質地盤で液状化は発生する」程度のことは知っている方は多いのですが、もう少しだけメカニズムを理解すると液状化対策が見えてきます・・。
*ここでは、地盤の難し専門用語を使うと理解できなくなる恐れがあるので、一般の方でもわかりやすい言葉で説明します。
地下水位の高い砂質地盤とは、砂の粒と粒の間に地下水がある状態で安定している地盤のことです。
砂の粒同士は手を繋ぐようにつながっていて、その輪の中に地下水が囲まれています。
そんの地盤に地震が発生すると、砂の粒同士の輪が地震で揺らされ輪の形が変形します。
すると輪に囲まれていた地下水が圧縮されて水圧が上がります。
この地下水の水圧が大きくなると砂の粒が繋いでいる手が離れてしまい砂の粒は地下水に浮いた状態になります。これが液状化の瞬間です。
地下水に浮遊している砂の粒は沈んでいきます。
比重の大きい砂は下に沈み、比重の小さな地下水は地表面に溢れます。
この現象により、地表面の地盤支持力が不足し建物は傾いてしまいます・・。
これが液状化のメカニズムです。
そこで、液状化対策を考えます。
メカニズムが理解できていれば、液状化対策も理解できてきます。
木造住宅の液状化対策は、下記の通りです。
①液状化の発生を防止するまたは、液状化の程度を軽減する
→矢板やコンクリート製の壁を地盤内に構築し、地盤を拘束してしまう
→表層改良等により堅固な地盤で液状化を抑える
→盛土を行い盛土重量で砂の間の地下水を抜いてしまう
③基礎等を頑丈にして液状化に抵抗できるようにする
→構造計算した剛性の高いべた基礎にして液状化により基礎の
折れ曲りを防止する
→液状化する層の下層まで到達させた柱状改良や鋼管杭等で補強する
地盤表層部が水層になり、水がなくなると空隙になることもあります。
その際、自立できる杭状補強であることが条件です。
最近目立つ液状化対策はおかしなものが多いですね。
液状化のメカニズムを広い視野で見ず、ごく小さな部分のみをクローズアップして、あたかも液状化に有効な対策工法と誤認させています。
意外と、開発者や設計者、販売している方は騙しているつもりは無く、ただ、液状化のメカニズムや建物の構造について知らないだけかのかもしれません・・。
液状化は設計者がしっかりと理解し、本当に有効な対策工法を採用するようにしてください。
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2013年10月25日金曜日
2013年10月21日月曜日
本の売れ行き・印税・ランキング
昨年、㈱エクスナレッジより「最高に楽しい木構造入門」を発行させていただきました。
初版は3,238部。
出版時に印税を一部いただき、一年後に売れた分だけ印税をいただきました。
現在、2,718部が売れ、初版残り520部。
売れているのか売れていないのかよくわかりません・・。
㈱エクスナレッジの担当者は、
「本が売れない時代に、専門書では頑張っているほうです」とのこと・・。
であれば良いのかもしれません・・。
早く第2版になることを願っています。
それと、意外と気になるのがアマゾンのランキング。
時々見ていますが、浮き沈みが激しい・・。
http://www.amazon.co.jp/dp/4767814340/ref=pe_185932_158152732_pe_multi_vfe_best_dp1
(ページ下のほうの登録状況にランキングが出ています)
発行時点で最高ランキングが4位!
現在は100~400位を行ったり来たり・・。
面白いのが、セミナーや講演会を行った後にはランキングが上がります。
本を書くと気になることがたくさんあります。
今年は大学院で博士取得を目指しているため、本の執筆は無理ですが、
来年からは本を執筆し続けたいと勝手に考えています。
目指すは1年1冊!
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2013年10月18日金曜日
「構造塾」セミナー再度開催のお知らせです!
木造構造計算&省エネセミナー
「構造塾」関東地区第二期会員募集説明会 開催のお知らせ
台風直撃の中、10/16に説明会を開催しましたが、
欠席者も多かったため10/29(火)に再度開催いたします。...
今度は天気に恵まれることを願っています・・。
セミナー内容:これだけは知っておきたい構造計算の考え方、
ここがおかしい木構造
住宅地盤の判定(液状化判定・地盤補強・基礎形状算定)
今から学ぶ省エネ計画 改正省エネを学ぶ為の第一歩
日程:平成25年10月29日(火)
時間:セミナー:14:00~16:00 受付13:30~
場所:明治薬科大学 剛堂会館1階第2会議室
東京都千代田区紀尾井町3-27
定員:50名
参加申込:メールまたはこのブログに参加希望のメッセージ をお願いします。
メール:info@ms-structure.com
ご参加お待ちしております。
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2013年10月3日木曜日
置換工法による地盤補強について
地盤補強工法のひとつに「置換工法」があります。
これは、現状地盤の土を捨てて、その土に厚さ分超軽量体に置き換えることにより、地盤の長期許容応力度(建物の重さに耐えられる力)が増加する原理に基づく工法です。
人間に例えると、
15kgの荷物を持っている人がいます。
この人はあと5kg荷物しか持つことができせん。
これ以上の荷物を持つと耐えきれずに落としてしまいます。
この人の持てる限界は20kgとなります。
しかし、15kgの荷物をどうしても持ってほしい場合、
今持っている15kgの荷物をいったん置いて、
同じ大きさの1kgの荷物の持ちかえると、
持てる限界20kgに対してあと19kg持つことができます。
よって、どうしても持ってほしい15kgの荷物を持てることになります。
これが置換工法の原理です。
地盤で説明すると、
住宅を建てようとしている地盤があります。
この地盤は軟弱で長期許容応力度が5kN/㎡しかありません。
この地盤はあと5kN/㎡の重さの住宅しか建てられません。
これ以上の重さの住宅を建てると耐えきれずに地盤が破壊してしまいます。
しかし、15kN/㎡の重さの住宅をどうしても建てたい場合、
今ある15kN/㎡相当の表層の土をいったん捨て、
同じ厚さの1kN/㎡相当の超軽量体に置き換えると、
捨てた土15kN/㎡-置き換えた超軽量体1kN/㎡=14kN/㎡
そこに長期許容応力度5kN/㎡を加えて、
置換後の長期許容応力度は19kN/㎡となります。
よって、どうしても建てたい15kN/㎡の住宅を建てることができます。
この15kgの荷物を持ったまま、さらに15kgの荷物を持たせ、
荷物を落とさないように手の下に、つっかえ棒で支える方法もあります。
これを住宅に例えると、柱状改良や杭の原理になります。
置換工法で利用する超軽量体はEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)いわゆる発砲スチロールが一般的で、高速道路の下地のも使われています。
住宅業界に置換工法はいくつかありますが、設計理論を理解して正確な設計を行っている工法や、超軽量部材を間違わずに使っている工法はあまりありません。
多くは置換理論をかなり間違って解釈しています・・。
また、置換工法を軽量化による地盤補強のため、
基本的に液状化には逆効果です。
利用できる地盤は軟弱な粘性土です。
液状化する可能性のある砂質土には利用しないほうがよいでしょう。
どうしても地盤、置換工法、基礎、上部構造を一体で考え、
液状化の原理、エネルギーなど総合的に考えることなく、
ごく一部の部材や性質のみをデフォルメして
液状化に効果ありとか、どんな地盤でも置換可能など謳ってしまっています。
さらに置換工法は構造計算された剛性の高いべた基礎が基本で、
基礎下全体に超軽量体を敷き込むことが基本です。
材料費とボリュームを考えても柱状改良や表層改良よりも高額になります。
そもそも、柱状改良や表層改良と比較検討する工法ではなく、
これらが採用できない支持層の無いような地盤に採用する工法なのです。
パブリックな場では固有名詞を挙げて良し悪しを言えないため
この程度にしておきます。
詳しく知りたい方は直接ご連絡ください。
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これは、現状地盤の土を捨てて、その土に厚さ分超軽量体に置き換えることにより、地盤の長期許容応力度(建物の重さに耐えられる力)が増加する原理に基づく工法です。
人間に例えると、
15kgの荷物を持っている人がいます。
この人はあと5kg荷物しか持つことができせん。
これ以上の荷物を持つと耐えきれずに落としてしまいます。
この人の持てる限界は20kgとなります。
しかし、15kgの荷物をどうしても持ってほしい場合、
今持っている15kgの荷物をいったん置いて、
同じ大きさの1kgの荷物の持ちかえると、
持てる限界20kgに対してあと19kg持つことができます。
よって、どうしても持ってほしい15kgの荷物を持てることになります。
これが置換工法の原理です。
地盤で説明すると、
住宅を建てようとしている地盤があります。
この地盤は軟弱で長期許容応力度が5kN/㎡しかありません。
この地盤はあと5kN/㎡の重さの住宅しか建てられません。
これ以上の重さの住宅を建てると耐えきれずに地盤が破壊してしまいます。
しかし、15kN/㎡の重さの住宅をどうしても建てたい場合、
今ある15kN/㎡相当の表層の土をいったん捨て、
同じ厚さの1kN/㎡相当の超軽量体に置き換えると、
捨てた土15kN/㎡-置き換えた超軽量体1kN/㎡=14kN/㎡
そこに長期許容応力度5kN/㎡を加えて、
置換後の長期許容応力度は19kN/㎡となります。
よって、どうしても建てたい15kN/㎡の住宅を建てることができます。
この15kgの荷物を持ったまま、さらに15kgの荷物を持たせ、
荷物を落とさないように手の下に、つっかえ棒で支える方法もあります。
これを住宅に例えると、柱状改良や杭の原理になります。
置換工法で利用する超軽量体はEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)いわゆる発砲スチロールが一般的で、高速道路の下地のも使われています。
住宅業界に置換工法はいくつかありますが、設計理論を理解して正確な設計を行っている工法や、超軽量部材を間違わずに使っている工法はあまりありません。
多くは置換理論をかなり間違って解釈しています・・。
また、置換工法を軽量化による地盤補強のため、
基本的に液状化には逆効果です。
利用できる地盤は軟弱な粘性土です。
液状化する可能性のある砂質土には利用しないほうがよいでしょう。
どうしても地盤、置換工法、基礎、上部構造を一体で考え、
液状化の原理、エネルギーなど総合的に考えることなく、
ごく一部の部材や性質のみをデフォルメして
液状化に効果ありとか、どんな地盤でも置換可能など謳ってしまっています。
さらに置換工法は構造計算された剛性の高いべた基礎が基本で、
基礎下全体に超軽量体を敷き込むことが基本です。
材料費とボリュームを考えても柱状改良や表層改良よりも高額になります。
そもそも、柱状改良や表層改良と比較検討する工法ではなく、
これらが採用できない支持層の無いような地盤に採用する工法なのです。
パブリックな場では固有名詞を挙げて良し悪しを言えないため
この程度にしておきます。
詳しく知りたい方は直接ご連絡ください。
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